かけあい台本 二人用(男性1・女性1) 【所要時間:約4分30秒~5分】
フリーで使える、掛け合い稽古用台本です。
同期やクラスメイト、友達との練習はもちろん、ネット上でのボイスコさん(ネット声優さん)同士の、ボイス投稿サイトやアプリでのコラボ用原稿としてもどうぞ。
ワークショップでの教材が足りずに困っている講師の方も、ぜひご利用ください。
会話劇なので、相手の反応を見ながら、自分のお芝居を相手にぶつけてセッションしてみてくださいね。
個人的な見解の注釈アドバイスもつけてありますので、参考までにどうぞ。
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【台本】
遥「こんなところにいたんだね。」
涼「なんだよ。」
遥「ねぇ、教室に帰ろうよ。みんな心配するよ。」
涼「しないよ、誰も。」*1
遥「そ、そんなことないよ!みんな心配する。」*2
涼「嘘つくなよ。俺一人いなくなったところで、みんなが心配なんかするわけないだろ。いつも通りに授業を受けてるさ。どうせまた、お前だけ抜け出して探しに来たんだろ。」
遥「それは、その通りだけど…。」
涼「バカなやつ。」
遥「バカじゃないもん。」
涼「バカだよ。俺なんかと一緒に授業さぼってたら、お前まで成績さがるぞ。ほら、優等生ちゃんはさっさと教室に戻れよ。」*3
遥「優等生ちゃんじゃない。」
涼「何言ってんだ、東京の有名私立大学目指そうってやつが。」
遥「優等生じゃなかったよ、前は。優等生になれたのは、勉強、教えてくれたから。」*4
涼「ああ、そんなこともあったかな。」*5
遥「ねえ、忘れちゃった?約束。」*6
涼「約束?」
遥「やっぱ、覚えてないか。わたしたちが中学生の頃にさ、その…。」*7
涼「覚えてるよ。」*8
遥「え。」
涼「二人であの大学に行こうって、決めたことだろ。」
遥「うん…そう、一緒になにかのテレビドラマを見てて、そこに写ってた大学生たちがすごく楽しそうで、素敵で、わたしたちもいつかあの学舎に通いたいねって。
てっきり、もう忘れちゃったんだと思ってた。」*9
涼「覚えてる。忘れたことなんてない。」
遥「じゃあ、どうして…どうして勉強、やめちゃったの?こんなふうに授業をさぼるの?あんなに一緒に頑張ってたのに!」
涼「お前には分かるわけない。」
遥「分かんないよ!分かんないから、教えてよ!」
涼「怒るなよ。」
遥「怒ってない。…どうしてなの。」
涼「言えない。」
遥「教えてくれるまで、ここを動かない。」*10
涼「お前、バカか。」*11
遥「バカでいいよ。わたしにも分かるように、教えて。」
涼「はぁ。じゃあ話すけど。」
遥「うん。」
涼「別に同情とかするなよ。」
遥「うん。」
*12
涼「俺、大学行けなくなったんだ。親父の会社が倒産して、借金だらけ。だから、俺も卒業したらすぐ就職することになった。」
遥「…なんで。」*13
涼「こんなことになるなら、工業高校とか商業高校に行っておけばよかったな。大学に憧れて、なんにも考えずにこんな頭でっかちな高校選んで、バカみたいだ。今すぐやめた方がいいかもしれないよな。」*14
遥「なんで、教えてくれなかったの。」
涼「別に。言ってもお前には迷惑なだけだろ。それに、頑張って勉強してるお前の邪魔、したくなかった。」
遥「邪魔になんて、なるわけない!大学なんて、ほんとはどうだっていい。わたしは、あなたとずっと一緒にいたかったの。大学生になっても、大人になっても、ずっと一緒に笑ってたかった。だから頑張ってきたの。一緒にいられないなら、頑張っても意味ない!わたしも勉強なんてやめる。」*15
涼「はあ?そんな、受験はどうするんだよ。親だって悲しむだろ。」
遥「親なんてどうでもいい。」
涼「こうなるから言いたくなかったんだ。」
遥「だって…。」
涼「いいか。お前はちゃんと大学に行け。行けなかった俺の分まで、いっぱい学んできてくれ。それでさ、いつか俺も親父みたいに会社を作るから、大学で学んだ知識を使って、俺を助けてくれよ。ずっと、一緒に。」*16
遥「…。」
涼「な、なんてな!嫌だよな、俺みたいなやつの手助けなんて。」
遥「ううん、それ、すごく素敵だよ。」
涼「そうか?」
遥「うん!お手伝いしますよ、社長!」
涼「はは、まあ、よろしくな。」
遥「ていうか…『ずっと、一緒に』って、さっきの、もしかしてプロポーズ?」
涼「は?ち、ちげぇよ。」
遥「ふふふ、まあいいや!最初の助言。授業はちゃんと受けないといけませんよ、社長。」
涼「はあ?」
遥「だって高校は、一緒に笑顔で卒業したいじゃん。さ、教室に戻ろ。」
涼「まったく…調子のいいやつ。わかったよ。」
end
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以下、演出のちょっとしたアドバイスです。
*1:遥に早く去ってほしいと思っているので、少し冷たくてもいいかもしれません。後半に見せるやさしさとのギャップも演出できます。
*2:これは本当は嘘ですが、涼に教室に戻ってほしいので真剣に嘘をつきます
*3:最後は冗談めかして、遥を帰そうとします。
*4:少し、昔のことを思い出して感傷にひたりながら
*5:ごまかして流す感じで
*6:遥にとって「約束」は大切なもの。壊したくない昔の思い出です。
*7:明るく表情を繕おうとしながらも、少し悲しい気持ちをにじませてみましょう。
*8:遥の少し悲しそうな顔を見て、思わず、あるいは心苦しくなって、本当のことを言う
*9:最初は、覚えていてくれて、素直にうれしいという気持ち
*10:真剣に
*11:少しあきれて、でも遥の真摯な表情を見て、話す決心がつきつつある
*12:2つの「うん」が全く同じにならないように。「同情」という言葉から、涼になにかつらいことがあったと察するかもしれません
*13:あまりのことに驚きながら
*14:自分にとって辛い出来事を、ネガティブな冗談を言いまくってごまかそうとする感じ
*15:遥の感情が爆発するシーンです。言ってることは支離滅裂なので、すこし子供っぽく演じてもいいかもしれません
*16:大切な夢を語る感じで。「ずっと、一緒に」は後半で遥のセリフに出てくる言葉なので、少し印象に残る感じで演じるのが良いかもしれません