こんにちは。あかりです。
今回から、「ナレーションの基礎の基礎」についての記事を全6回(予定)に渡ってお届けします。
ナレーション初心者の方や、ナレーションに苦手意識がある声優養成所生・専門学校生の方を対象に、いわゆる「素人読み」から卒業するためのメソッドをお伝えしていきます。
短期間でナレーションが上達するためのポイントを、厳選してお伝えしますよ!
【目次】
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【ナレーションをする上での意識を、アマからプロへ変える!】
第1回目の今回は、ナレーションの礎と言っても過言ではない「マインド(意識、心の在り方)」ついてお話します。
初心者さんがナレーションに取り組む際に…
「とにかく、綺麗に上手く読まなきゃ!」
こんな風に考える方は多いと思います。
もちろん、ナレーションを綺麗に上手にこなせることは、声のお仕事をしていくうえで必要なスキルです。
ですが、それをゴールに据えるのは、一度やめてみてください。
なぜなら、「綺麗に上手く読まなければ」「失敗しないようにしなきゃ」という意識は、ともすると自分の枷となるからです。
その理由は主に二つあります。
①ひとつめは、パフォーマンスも、表現の自由度も下げてしまうからです。
声優スクールでは、このような方を本当によくお見かけします。
・「綺麗なナレーションをしなきゃ」という意識がプレッシャーや焦りとなり、失敗を誘発し、「最大の目標にしていた、綺麗なナレーション」が達成できなくなり、余計に焦る…という負のループに陥ってしまう方。
・「失敗しないぞ」という意識で頭がいっぱいになってしまって、思い切った表現に挑戦したり、想定と違う臨機応変な表現をしたりすることが難しくなり、その結果、表現の幅が狭い、魅力の乏しいナレーションになってしまう方。
ご本人の緊張や頑張りがヒリヒリ伝わるぶん、これはすごく勿体ないなと思います。
②ふたつめの理由は、独りよがりになってしまうから。
自分の理想を追い求めるあまり、聞いている相手の心に響かない、届かない…そんな完全自己完結のナレーションになってしまう方も、よく見かけます。
表現豊かには聞こえるのですが、いくつかナレーションを読むと、やはり表現が一辺倒に感じます。
また、ナレーション技術も頭打ちになりがちなので、これもすごく勿体ないです。
そうならないために、「本当に」意識してほしいことは…
「聞く人の存在」です。
アマチュアの自主練とは違い、プロのナレーションのお仕事には、必ず聞く人(=クライアントや視聴者)がいます。
聞く相手がいて初めて、ナレーションのお仕事は成立するとも言えます。
「どうすれば聞く人に伝わるだろう?」
「どのようなナレーションが、相手にとって心地よいだろう?」
「クライアントは、自分のナレーションに何を求めているだろう?」
こんな風に、自分から相手へと視点を移してみてください。
つまり、さきに挙げた「失敗しない、綺麗で上手いナレーション」でなく、「相手に求められているナレーション」を目標に据えてみてください。
たったこれだけのことなのですが、頭の中が創造的になり、フレキシブルになり、そして自分のナレーションを俯瞰的に、客観的に見ることができるようになってきます。
声の出し方から緩急のつけ方まで、着実に表現が変わってくると思います。
また、たとえ失敗しても、そこがナレーションの成否ではないので、精神的な軌道修正がききます。
これは、オーディションの場や、実際の収録現場では、とても重要です。
新人のうちはとくに、収録中に多少失敗してしまってもいいと思います。
いや、もちろん失敗はできれば少ないほうがいいんですけれど、でも「失敗すること以上に、貧相なナレーションをすることの方がNGだ」と、音響監督さんやマネージャーさん達は異口同音におっしゃいます。
なので、失敗を過度に恐れないでくださいね。
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さて、ここまでお話してきた、「自分軸ではない、相手軸のナレーション」。
簡単なことのようで、これを意識できていない声優・ナレーター志望の方は本当に多いのです。
逆に言えば、ここをクリアできれば、他の人と差をつけられます。
これが、アマからプロへ昇格するための第一歩です。
ぜひ、相手に届く魅力的な表現を追い求めてください!
おわりに~大切なことなのに、じっくり教えてもらえない
今回は、ナレーションに取り組むうえで一番大切な、マインド(意識、心の在り方)についてお話ししました。
マインドはとても大切な部分なのに、声優学校でナレーションを勉強している多くの人が、あまり意識していません。
それは、マインドについて改めて教えてくれる人が少ないからだと思います。
発声滑舌や表現などは、指摘しやすいので、指導もしやすい。一方マインドは、レッスンでは一人一人に割く時間が少ないため、じっくり指導しにくい……という理由かもしれません。
でも私は、早い段階から「相手軸」の考え方を身に着けるべきだと思います。
とくにナレーションでは、相手が漠然としていることや、自分一人で表現しなければいけないことから、自然と自分軸になりがちです。
なので、相手軸で演技をする経験を、意識的に積む必要があると思うのです。
つまるところ、このブログで相手軸のナレーションについて知れた方はラッキーです!
(もうすでに分かっていたよ~という方には、本当にごめんなさい。)
ぜひ今日から、「相手軸」の意識をもってナレーションに取り組んでみてください。
自分軸で、自分の殻の中で読んでいた時よりも、ずっと豊かで、自由で、奥深いナレーション生活が待っています。
(次回予告)
次回以降も、「ナレーションの基本的な、でもこれを知れば他の人と差がつく!」という内容をお届けする予定です。
気長にお待ちいただけると嬉しいです。