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あかり先生と一緒に、プロの声優を目指す指南ブログです。

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素人脱却!ナレーション講座「【第2回】マイクノリ?」

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こんにちは!あかりです。

本日は、ナレーション講座の第二回目をお届けします。
※第一回目を未読の方は、ぜひお読みください。
www.ayatoshi.com

【目次】

★マイクのりって?

さて、今回のテーマは「マイクのり」です!

この「マイクのり」という言葉は、ナレーション初心者の方にとっては、あまり耳に馴染みがないかもしれません。
ですから、マイクに「よくのる声」と「のりにくい声」の違いも、いまいちピンと来ないかもしれませんね。

文章で説明するのはちょっと難しいのですが、分かりやすいのは、専門学校のアフレコ体験会などでしょうか。(参加したことのない方は、チャンスがあればぜひ行ってみてくださいね!新鮮な体験ができると思います。)

アフレコ体験会では、プロの声優さんがゲストで登場して、参加者に交じってアフレコを実演してくれたり、マイク越しにアドバイスをくれたりします。

その時のプロの声はとても耳に入ってきやすいです。
盛り上がる演技でも、トーンを落とした演技でも、いつでも一本の筋が通っているような声で、そして何より、声に「華」があると感じると思います。

一方で、初心者さんの声は少しボヤっとした感じで、プロの声と同じスピーカー・同じ音量で出力されているはずなのに、耳に入ってきにくいような印象を受けると思います。

それが、いわゆる「マイクにのる声」と「のらない声」、ひいては「プロの声」と「素人っぽい声」の違いといえます。

★マイクのりの必要性について

わたし個人としては、この「マイクのり」は、ナレーションひいては声優業において、結構重要なポイントだと考えているのですが、声優志望さん界隈ではなんとなく軽視されがちな印象を持っています。

そこで、マイクのりの必要性について、少しおはなしさせてください!

【現場での「ノイズ」「マイクレベル」「調整」のおはなし】

まずは実務的な視点から、マイクノリの必要性についてお話しします。
みなさんは、収録現場で使われる「ノイズ」という言葉をご存じでしょうか?

この「ノイズ」とは、声以外の不要な雑音を指します。
例えば、唇や舌などが動く際に出る、唾液や空気の音。これをリップノイズ、リップ音などと呼びます。
他にも、喉の動く音、顎の関節が動く音、おなかのなる音、洋服の衣擦れの音、台本のページをめくる音…など。
これら全てが「ノイズ」です。

もし録音された音声にノイズが入ってしまった場合、必要に応じて、音声データをいじってノイズを除去しなければなりません。
このノイズ除去の作業量が多いと、人件費が多くかかってしまいます。

なので、極力ノイズが出ないようにすることが大切…なのですが、発声の際の細かなノイズは、完全に無音にすることはできません。

ですが、マイクにノイズを入りにくくする方法があります。
それが「マイクレベル」を下げる、という方法です。

「マイクレベルを下げる」とはつまり、マイクの集音感度を下げて、音を拾いにくくするということです。

ここで、マイクにのる声の良さが生きてきます!
マイクによくのる声ならば、マイクレベルをある程度下げることができるので、ノイズを入りにくくすることができます。
一方、マイクにのらない声の場合、マイクレベルを下げすぎると声が集音できなくなってしまうため、あまりレベルをさげることができず、ノイズが入りやすくなってしまいます。

……長く語ってしまいましたが、ザッとまとめると、
「マイクにのらない声→マイクレベルを上げなければならない→ノイズが入りやすくなる→ノイズの除去が大変→コストがかかる→次の仕事につながらなくなる…」
ということになります。

つまり、マイクにのる声こそが仕事で使える声であり、のらない声は、仕事では使えない声なのです。
声のお仕事で食べていくためには、マイクによくのる声は必須なんです!

【専門学校や養成所では、意外と「マイクのり」について教えてくれない!】

実は、多くの専門学校や養成所のレッスンでは「マイクのり」について言及されることはあまりありません。
「収録スタジオでの演習が少ないから」「録音技術者ではなく演者が指導していることが多いから」等の理由があると思います。

ですが、上述のように、現場に出たらマイクにのる声は必須です。
更に、マイクノリの悪い声では、現場に出る前の事務所オーディションの段階で「戦力にならない」と判断され、落とされてしまう可能性もあります。
いくら演技やパーソナリティを磨いても、戦力として事務所に採ってもらえなければ、いつまでも養成所から先へ進むことはできません。

「マイクによくのる声」=耳に入ってきやすい「プロの声」を手に入れることは、声優になるための近道でもあるんです。

それでは、どうすればマイクのりの良い声を獲得できるのでしょうか?
そのあたりを詳しくおはなししていきます!

★「マイクにのる声」を身に着けるには?

専門学校や養成所では、声の出し方がイマイチな生徒がいた場合、「お腹から声を出して!」または「もっと声を前に出して!」というアドバイスを受けることが多いのではないでしょうか。

この2点は、もちろんマイクにのる声を出すうえで肝心要なのですが、わたしがここにアドバイスを付け加えるとしたら、「『増幅』と『開放』を意識してみて!」です。

【増幅】

声を出す際に鼻腔をしっかりと共鳴させることが、マイクノリには重要です。
声を膨らませ、増大させるようなイメージです。
鼻腔に声を共鳴させることで、薄っぺらい素人の声ではなく、厚みやハリのある、芯の通った声を出すことができます。

「鼻腔を共鳴させる」がよくわからない方は、以下の練習方法を試してみてください。

手順①鼻の付け根あたりを指先で触り、その奥に広がる空間(=鼻腔)を、頭の中でイメージします。
手順②指先は鼻の付け根に置いたままで、ハミングをします。
(ハミングの方法→口を閉じたまま、声を出します。「んー」という声がでます。)
手順③その時、指で触れている部分は、声でぶるぶると振動しているでしょうか?それが、鼻腔で声が響いている状態です。
(あまり振動が感じられない場合は、指で触れている部分に音を集めるイメージで、意識を集中させてみてください。)
手順④次は、ハミングではなく、口を開いて「あー」と声を出してみます。
鼻腔で響いている感覚を大切にしながら、声を前方へと飛ばします。

このトレーニングを続けて癖付けしていくと、鼻腔に共鳴させた声を使えるようになっていきます!
慣れてきたら、共鳴する範囲を顔全体、頭全体へと広げていくこともできますよ!

【開放】

次に意識していただきたいのが「ノドの開放」です。
喉を力みから開放することで、声も開放され、より広がりのある声を手に入れることができます。
さらに、無駄な力みをなくすことで、使える音の幅もグッと広がりますよ!

力みをなくすのに有効な方法は、個々人によって異なるかと思いますが、具体的には以下のようなポイントを意識するとよいと思います。

方法①上半身のストレッチ
首や肩、腕、腰の関節をくるくると回す体操をして、緊張を緩めます。
また、腕や、上半身全体を、力を抜いてぶらぶらと振る体操も効果的です。
特に、肩や背中などは、緊張すると力が入りやすい箇所ですので、収録の前などに行うといいかもしれません。

方法②瞳の奥をひらく
あくまでイメージなのですが、瞳の奥を開くと、喉の力みが緩和されることがあります。
まぶたをガッと見開くのではなく、眼球や眼球の奥のあたりをリラックスさせ、自然に緩めて開きます。

方法③心を開く
精神論のようになりますが、心を開くことで、自然と身体のこわばりも緩和されます。
現場では緊張もあると思いますが、その場を楽しむ気持ちで!

【お腹から、お耳へ】

そのほかに、前述した「お腹から声を出して!」「もっと声を前に出して!」というよくある指示について、補足したいと思います。
このようなアドバイスを受けて、お腹に必要以上に力をいれて声を出したり、喉を絞って無理に大声を出したりする方もいらっしゃいますが、あまり効果的ではないと思います。

よくこのようなアドバイスを受けてしまう方は、まずは、体の姿勢が適切かどうかチェックしてみましょう。
猫背になっていたり、腰が反りすぎたり、体が左右に傾いたりしていないか、鏡でチェックしてみてください。

次に、頭の中で息および声のベクトル(矢印)をイメージする練習をしてみましょう。
イメージによって意識が変わることで、自然と声も変わっていきますよ!

まず、ベクトルの出発点は、丹田のあたりです。
(「丹田(たんでん)」とは、おへその下あたりを指す言葉です。)
ベクトルは丹田を出発し、体の中心を通っていきます。
その時に、その息のベクトルがぐらつかないよう、丹田でまっすぐ支えるようなイメージを持ってください。

そして、喉や鼻腔を通る際に、息は音を帯びて声となり、口から出ていきます。
その声を、マイクへ、そしてマイクの向こうにいる人の耳へと届けるイメージで、ナレーションしてみてください。

意識しなくても自然とこのような発声ができるようになるまでは、反復練習をおこなってくださいね。

【マイクワーク】

忘れがちなのが、マイクワークです。
マイクから口の距離や、マイクに対する顔の角度は適切かどうか、常に気を配るようにしましょう。

マイクの種類や演技の内容によって、ベストポジションは異なります。

一般的なコンデンサーマイクの場合は、マイクから顔の距離は「手を目いっぱい広げた際の、親指の先から小指の先くらい」と言われる場合が多いかなと思います。
あるいは、「台本の長辺」と言われることもあります。

大声を張り上げる演技の際は「一歩下がって」または「マイクの芯を外して」と指示されることもあります。
逆に静かな演技の場合は、口元を少しだけ近づけることも。

指示を出す方によって異なるので、慣れるまでは適宜確認できるとよいです。(現場の空気次第ですが…)


それから、台本で長文を読んだり、画面をチェックしなくてはいけない収録の場合は、顔全体を台本や画面に向けてしまうと、マイクに上手くのらないことがあります
顔は出来るだけマイクに向けたままで、視線だけを動かすイメージでやってみてください。


このようなマイクワークは、知識として知ってはいても、いざマイク前に立つと、緊張して分からなくなってしまうこともあると思います。
普段から、「今、マイクがどこにあるか?」をイメージしながら練習をして、マイクワークに気を配る訓練をしておけば、マイク前でも落ち着いて対処できますよ!

まとめ

今回は、マイクのりをテーマに書いてみました。
冒頭にも書きましたが、マイクノリは、素人とプロを分ける重要な要素なのに、意外と軽視されがちです。
マイクにのる声を獲得すれば、周りにまた一歩差をつけることができますので、これからはぜひマイクノリを意識してみてくださいね。

次回も、ナレーションの基礎を解説していく予定です。
気長にお待ちいただけると嬉しいです。

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